2017 May

 

   
 
 
軽井沢に居ると本を読む気持ちの余裕もありめったに開いていない旧道の古本屋 さんを覗きにゆく。吉坂隆正氏の著書「ル・コルビジェ」は建築の本と言 うよ り、氏のヨーロッパに対する考えや当時のパリの様子が良くわかって実に興味深 い。日に焼けた装丁と中に挟まっていた新聞の切抜きが時代を感じ させる。そ の記事はコルビジェが来日した年の11月11日・・・。

 

 

 
 
軽井沢の大好きな美術館、ル・ヴァンミュージアム。本格的なシーズンを前に地 元の小中学生、高校生の作品を展示。子供の頃はよくやっていたけれど 忘れて いた技法を思い出すような絵や版画、子供らしい思い切りの良さと大胆な構図に 感激する。

 

 

   
 
 
鹿島出版会50年の歴史を振り返るようなこの本、出版された数々の名著に関し て皆さんのコメントを読んでいると思わず買い足したくなる危険なイン デック スのよう・・・。奥付けの後の「造本設計データ」も興味深く、印刷方法、紙質や製紙会社、使用書体の細かな分類に「美しい本」を作るとはこのようなことなのだと感じ入る。

 

 

 
 
 
久しぶりに母校の定期講演会に伺う。初等科の先輩である料理評論家であり、服 部学園理事長の服部幸應氏による「食育」をテーマにしたお話は実に興 味深 く、また意義のある内容に皆さん一生懸命ノートを取る。「食」の重要性は心身 の健康の基本でもある事を再認識、そして素晴らしい先輩に恵まれ たことに感 謝する。

 

 

   
 
 
 
1984年に視覚障害者が彫刻に触って鑑賞出来る美術館として創設されたギャ ラリーTOMへ「安田侃のまなざし 柚木沙弥郎x安田侃」展に伺う。 大好き な彫刻家と母の恩師でもある型染めの柚木先生の展覧会、「布と石」という異素材の組み合わせも面白く、素晴らしい空間と共に 豊かな時間を過ごさせて頂く。

 

 

   
 
 
結婚したばかりの頃、パリからスイスに住む主人を訪ねて夜行列車でミラノまで 行き、ミラノで一泊してからコモ湖を通って国境を越え、スイスのル ガーノに 向かっていた。ミラノのドゥオモ広場の前に設置されたこの彫刻が日本人の安田 侃氏の彫刻であると知って以来の大ファン。ゴシック調のドゥ オモの前で、 「なめらかでぽってりとした質感」はその対比も面白く、見る人を和ませたに違 いない。

 

 

   
 
 
建築家、阿部勤氏の自邸が舞台の日韓映画「蝶の眠り」を見に行く。圧倒的な映 像の美しさが物語りの切なさをより一層際立たせているような・・・。 丁寧な カメラワークで建築の魅力も余すところ無く伝えている事も素晴らしく、やり切 れないストーリーの一つの救いかもしれない。

 

 

   
 
 
 
ワタリウム美術館に「Rebel Without a Cause 理由なき反抗」展を見に行く。和 多利志津子さんが生前交流のあったヨーゼフ・ボイスやナム・ジュン・パイクが ワタリウムで実際に制作した作品やそのビデ オ、 バックミンスター・フラーが来日して講演をした時の様子など、数々の貴重な映 像が見られる。

 

 

 
 
アレクサンドル・ロトチェンコの立体作品や、80年代を思い出すロバート・ メープルソープの写真、一時は旅先でいつも展覧会をやっていたほど一世 を風 靡した感のあるギルバート&ジョージなど懐かしい大御所の作品も次々に。

 

 

 
 
わずか31歳という若さでこの世を去ったストリートアートの先駆者とも呼ばれ るキース・へリング。ワタリウムの向かいにあるON SUNDAYS の建物 に即興でビル丸ごとをペインティング作品にしたメイキング・オブのビデオが懐 かしい。NHKのニュースのインタビューを受ける少年のような キース・へリ ング。和多利氏と親交のあったアンディ・ウォーホールの珍しい作品もお隣に。

 

 

 
 
オノ・ヨーコさんやジョン・ケージ、バックミンスター・フラーやヨーゼフ・ボ イス、ナム・ジュン・パイク、そしてキース・へリング・・・皆この場 を訪れ ていた事も驚くけれど何より驚くのはダライ・ラマ14世。オレンジの袈裟を着 た長い列がこのワタリウムから出て来るビデオは何度見ても特別 な空間体験、 遠くチベットに思いを馳せる。

 

 

 
 
グラスギャラリー・カラニスでパート・ド・ヴェールの作家、川北友果氏の香合 「夏の庭」展を拝見する。細やかな技法で、幾重にも重ねられたガラス の層が 描き出す繊細な立体感。お茶室で香を焚くためのお香を入れるお道具の一つであ る香合、四季の花々で彩られた可愛らしいガラスの香合が陽射し に映えて、繊 細で透明な素敵な展覧会。

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